育児でいったん退職した看護師さんが転職で職場復帰を考えるとき、ブランクの長さはどの様に影響する?
育児などのために休職、あるいはいったん退職した看護師さんが転職して職場復帰を考えるとき、懸念されるのがブランクの長さ。
どうすればもう一度看護師として輝けるのか。
最初の3か月は「大変で当たり前」のつもりで
――ご自身も、育児休暇を取得された経験があるそうですね。
そうなんです。育児休暇を取得して、2年ほどのブランクを経て現場に戻りました。「たった2年のブランクなら、すぐに元通り働けるだろう」と思っていたのですが、そううまくいきませんでした。現場のスピードについていけなかったり、“先を読んだ看護”ができずその場限りの対応になってしまったり・・・。転職後に現場感覚を取り戻すまでは大変でしたね。
育児休暇を取得するのではなく、いったん退職された看護師は、さらにブランクが長くなってしまいます。退職前とは別の職場に転職するなら、そのこと自体が不安でしょう。そうした気持ちは、私自身、よく分かります。
――転職まで何年くらいのブランクのある看護師が多いのでしょうか?
当院で再就職される看護師は、平均すると5年くらいのブランクがあることが多いですね。なかには、ブランクが10年という看護師もいました。
転職して再び働き始めたばかりの頃は、朝起きて、支度をして、通勤して・・・というサイクルを体に覚えさせるだけでも大変ですよね。出勤するだけで疲れちゃう、ということもあるでしょう。誰でも最初の3か月は慣れるのに精いっぱい。その時期にもへこたれず学び続けることで、多くの看護師は転職後半年くらいでブランクを克服していきます。
「現場感覚」を取り戻すために必要なこと
――ブランクがあることで、転職ではどういった難しさがあるのでしょうか? 治療法や医療機器の進歩に戸惑うことはありますが、それはあらためて学んでいけばいいことで、基本的な看護師としての姿勢や技術は変わりません。
ただ、多くの場合、先に言った「現場感覚」を失っていることが大きいですね。例えば、業務のスピードについていける体力や判断力だったり、一歩先を読みながら段取りをつけて仕事をこなす力だったり、患者さんの小さな変化に気づく力だったり、ということです。
皆さんが新人看護師だった頃を思い出してもらうと分かると思うのですが、これらはテキストを読むだけでは獲得できない能力ですよね。どれだけ転職前に研修を受けたとしても、現場感覚を取り戻すためには現場に出てみるしかありません。
現場で戸惑いながらも、その状況を受け止めて学び直す姿勢をもった看護師は、いち早く現場感覚を取り戻しています。そうした姿勢がある看護師には、最大限のサポートを惜しまない環境が当院にはあります。